やあ
甘口です
手切れ金
覚えている限り私の人生で最後の異性とのデートであり会話の際、彼女は最後に私にあるものを手渡した
そう、乾燥ラーメンだ
この乾燥ラーメン、作るのがめんどくさそうだったので家に置いてあったのだが、最近コメが家から消失して炭水化物不足に悩んでいたので作ることにした
湯で時間1分、夏の1分は長い。茹で上がる湯気とともに空へと霧散していく私の思い出
過ぎゆく時の長さを見事に表しているかのようだった
しかし、うちにはIHが一つしかない。もう一つは保存食のすき焼き風のにくを作るのに使っていたので、仕方なくレンチンする
この瞬間の判断。それが、僕の悲しむべき失恋()の味を思い出させるような味へと、乾燥ラーメンを変えてしまったのだ
本当はおいしかったであろうラーメン。牛のエキスが染み込んだラーメン。
あるべきだった未来は、もはや塵へと変わったことに、私はこの時気づかなかったのである
そんなことは梅雨知らず、私はレンジからラーメンを取り出す
ラーメンの様子がおかしい。萎びている。まるで恋に敗れたかのようである
その程度では炭水化物を取らない理由にはならない。私はスープを作り、ラーメンをつけ、喉元へと面を注ぎ込む
自業自得です
では