はじめに
今日は哲学的なネタについて書いていこうと思うよ
今日のネタは哲学的ゾンビっていうなかなか魅力的なフレーズで始まる用語の解説と、その背後にある思想について説明していこうと思うよ
良ければ見ていってね!
哲学的ゾンビ
哲学的ゾンビというのは、思考実験の一つで、本来存在するかどうかわからないものをとりあえず仮定して考えてみようっていう哲学における命題のことだよ
そのなかで哲学的ゾンビっていうのは、意識(クオリア)を持たない人間存在のことを指すよ
心がないってことは、私たちみたいに思うってことをしないってこと
例えると、私たちは殴られたときに口に出すか出さないかは別として、”痛いっ”って思うよね
そこで、哲学的ゾンビを殴ってみると、”痛いっ”って言ったり、痛そうな表情をしたりはするんだよね
ただ哲学的ゾンビの場合は、痛いということを思う(感じる)ってことだけがないんだ。
これを心がないっていう風に表現したんだ。
チャーマーズはこれを通して、自然主義的二元論っていうのを示したかったんだけど、次はこれについて説明するね
自然主義的二元論
自然主義的二元論っていうのは、自然主義と、二元論っていう二つに分けられるんだけど、まずは二元論とは何かってところから説明するね
二元論っていうのはデカルトとかの考えで、簡単に言えば人間を”心”と、”身体”に分けて考えようっていう考え方のことを指すよ
デカルトの二元論での”心”っていうのは、身体とは別のところに存在して、身体を動かしているもののことを表すよ
たとえればラジコンを”身体”とすると、コントローラーが”心”みたいな感じで捉えることができるよ
このとき、デカルトは”心”を精神的な実体として定義してるんだけど、チャーマーズはこれについて異論をはさむわけ
チャーマーズは物理的、科学的な用語を用いて”心”について説明を求めるんだ
これを自然主義的二元論っていうんだよ
ただ、チャーマーズは物理的な言葉だけでは”心”の問題は説明できないっていう考え方を示していて、不可知論的なところがあるんだよね
ここで、物理的、科学的な言葉だけですべてを説明しようとする考え方を唯物論(物理主義)っていうんだけど、上の議論からわかるように、チャーマーズは物理主義ってわけでもないんだ
物理主義でもないし、デカルトのように超自然的な二元論でもないって立場をとっているんだね
意識のハードプロブレム
前述のとおり、チャーマーズは心の物理主義、唯物論には反対の立場をとっているんだけど、その理由として意識のハードプロブレムっていう考えがあるんだ
これは何かっていうと、意識(クオリア)はどこに還元するかどうかを唯物論では決められないって考えから来てるんだよね
物理主義では脳の仕組みとかをホルモンなどの生理学的な用語を用いて客観的に説明したけど、”痛い”みたいな主観的なクオリア(意識)を説明できないんだ
この主観的意識の説明が、客観的に説明しづらいことを説明のギャップっていって、この説明の難しいことを意識のハードプロブレムっていうんだ
現象的意識
チャーマーズが心の物理主義に反対するもう一つの根拠として、現象的意識というものもあるんだよ
これは頭の中でのイメージが、物理的な法則に反してるよねっていう考え方なんだ
例えば私がジャンプしたと考えてみると、当然私は重力で地面に引き付けられるよね
このことは現実世界では何度やっても変わらないことだし、つまりは因果律に従ってるわけだ
一方、私がジャンプで空を飛ぶという想像をしたとするよね、このとき想像の中では重力なんてものは存在しないわけ、因果律に従っていないんだ
これは明らかに物理的な法則に反しているよね
当然現実世界でこんなことは起きないし、ありえないことなんだけど、すべてが物質でできているのなら、この想像の世界も因果律に従わなければおかしいという批判が考えられるんだ
そこでこの想像のことを現象的意識っていうんだよ
まとめ
意識のハードプロブレムと、現象的意識の存在によって心の唯物論に反駁し、自然主義的二元論を説明するためにチャーマーズは哲学的ゾンビの思考実験を行ったんだ!
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